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遠賀町誌 第八編 村落と生活 第五章 日常生活の中の民俗

ページID:0026927 更新日:2024年3月7日更新 印刷ページ表示

第八編 村落と生活 第五章 日常生活の中の民俗 [PDFファイル/1.96MB]


第一節 子どもの遊び

 「子どもは遊びの天才である」という。子どもは遊びによって成長する。むかしの遊びは、子どもが自然の中から考え、それを伝承したものであった。

 遊び道具は子ども自身の手作りであり、また、それを作ることが遊びでもあった。

 むかしは、子どもも家事の手伝いに一翼を担っていたが、それでも、その合間に遊ぶことには不自由をしなかった。

一 男子の遊び

1 竹製遊具

 一、竹とんぼ 二、竹笛 三、竹馬 四、はじき鉄砲 五、水鉄砲 六、紙鉄砲 七、杉鉄砲 八、弓 九、凧 一〇、せみとり 一一、ぶんぶんごま 一二、風車 一三、竹電話など以上は竹製遊具このうち、紙・杉鉄砲は篠竹にて弾丸の太さにより別けられる。

 このほか、榎木の実や椋の実なども弾丸として使用された。

 せみとりには長い篠竹の先を一節位、二ツ割にして一〇センチメートル位の割竹で両方を、つっぱり三角形にして、くものエンバをまきつけたり、丸竹の先端に蠅取紙のヤニを塗りつけて蝉をとったものである。

 竹電話は男女、共通の遊びで、淡竹を一〇センチメートル位のもの二個を作り、それぞれ片面にパラヒン紙など薄い紙をはり、これに五メートルから八メートル位の糸を双方の紙面につけ電話遊びをした。

2 木製遊具

 一、ゴム銃 二、わな 三、ねん棒

 わなは山鳥などをとる為、弾力性のある木を利用した。

 ねん棒は長さ三〇~四〇センチメートル・径二~三センチメートル位の木の一端を尖らせ、これを、ふりかぶりエイッと土中に打ちこみ、相手の棒を倒すと勝となる。この遊び場は、稲の刈上後の田圃か、土地の柔らかいところである。

 これは杭を打込み、毎月の吉凶を占ったことに始るといわれている。

 勝負に勝ったときには、ネン棒を一抱き持ち帰り床の下に入れて悦に入ったが、負けたときには山に行ってネン棒を作り、間に合はないときは稲架の脚を切って之を作り、父親からお目玉を喰ったものである。

3 その他の遊具

 一、ブチコ 二、軍人合せ 三、家族合わせ 四、獨楽 五、金輪(竹輪)

 ブチコはパッチンともいい地面や床上で、自分のブチコを扇ぐように打ちつけ、相手のブチコを裏返しにすれば勝となる。

 軍人合せは昔の軍人の絵をかいた馬糞紙の八センチメートル×四センチメートル位の矩形のもので大将は中将以下に勝ち、地雷火は工兵に負けるといったもの。

 金輪は明治時代になって出たが、鉛筆位の鉄線の輪(30~40センチメートル位)をY型Ч型の鉄製の押棒で押して遊んだ。この輪には径三センチメートル位の金輪二個をつけていたので押棒で押すときにはチャラチャラと音を出していた。昭和に入り自転車のリムのスポークを取除き凹面に一本の棒を入れて回して遊ぶこともあった。

 竹輪廻しは元禄時代には既に遊ばれていたようで、桶の輪替になった古い竹輪を押して廻ったものである。

 男・女子共通の遊具、ラムネ玉、おはじき、メンコ、かるた、双六、百人一首、トランプ、折紙、切紙、日光写真、万華鏡、けん玉(一七七七年頃ヨーロッパより流入)、まりつき、あやとり、ジャンケン遊び、紙相撲、鬼ごっこ、かっぽん、陣地遊び、牛か馬か、草木あそび、石けり(瓦けり)、お手玉などがあり特に、まりつきやお手玉などは女の子の遊びで唄を伴うものが多い。

第二節 予知と禁忌

一 前兆予知

烏なき声が悪いとき   死人がある

朝茶柱がたつとき    縁起がよい

夜  〃        不幸がある

外出のとき下駄の花緒が切れると 〃

葬式にあうと      よい事がある

燕が家に巣をかけると   〃

火の玉が股倉をくぐれば 死ぬ

優曇華の花がさくと   不吉なことがある

元旦に早く宮詣りをすると よいことがある

元日に女が一番にくると 縁起が悪い

耳のかゆいときには人が噂している

二 卜占

「ト占」

大雪は豊年の貢

夕立虹が出ると天気がよい

朝虹は雨、夕虹は晴

秋の夕焼鎌をとげ、夏の夕焼桶すけよ

鳥が高く巣をかけると雨が多い

蟹がなかゐに上ると大水が出る

履物を蹴上げ表なら晴、裏なら雨

月が笠をかぶると雨

「夢占い」

大水の夢 増水のとき 良いことあり

減水〃   悪い

雨にあう夢、ごちそうにありつく

水の流れの夢、縁談整う

金を拾った夢 金を落とす

田植の夢 悪い

魚の夢  鱗が多い魚 良い

     〃 少又は無 悪い

蛇の夢  金を拾う

火事の夢  良いことあり

歯の抜けた夢 不吉のことあり

日の出の夢 よい

日の入の夢 悪い

幼児が股のぞきをすると後がすぐ出来る

胎児の位置が右腹は女、左腹は男

三 禁忌

畳の目に爪を落すと――長患いをする。

出針を使ふと――縁起がわるい。

足袋をはいて寝ると――親の死目にあわぬ。

食後すぐねると――牛になる

夜口笛をふくと――泥棒がくる。

火遊びをすると――寝小便をする。

蛇を指でさすと――指がくさる。

丑の日に餅をつくと――火事になる。

九の日にを餅つくと――苦餅といい悪い。

夜や夕方塩を買うと――不幸がある。

夜の蜘蛛は親に似ても殺せ――不幸がある。

七夕の日に稲葉で目をつくと――盲となる。

家内親類に不幸があると――四十九日迄は宮参りをしてはいけない。

未婚の娘がハンカチや指輪を人にやると――縁が遠い。

食物の三切れは――悪い(身を切る)。

三夜泊りは――悪い。三夜泊りをするときは、着物か身についたものを置いてくればよい。

元日の朝は掃除をしない――掃き出す。

三月に牛蒡種を蒔くと――葬儀用に使う。

土用の四・九日に大根種を蒔くと――葬儀用に使う。

土用の内に土扱をすれば――荒神の祟りがある。

四・九の数は嫌う――死や苦につながる。

十七夜の月を拝むと――怪我したところが悪化しない。

寅の八日に着物を栽つと――袖に涙の絶間なし。

丙午の女と結婚すると――夫は喰殺される。

友引の日に葬儀をすると――再び死人を出す。

三りんぼうに家を建てると――倒れる。

巳の日に着物を仕立てると――よくない。(身を切る)

雨降りに吃りのまねをすると――どもりになる。

畳の角が四つ重なると――悪い(寺の畳敷)

三軒長屋の真中に住むと――病人が絶えぬ。

土間の敷居に乗ると――主人の肩にのるのと同じ。

着物は洗って干したまま着れば悪い――一度たたんでから着る。

枕をふむと――頭が悪くなる。

鼡の悪口をいへば――言った者の着物をかぢる。

ミミズに小便をしかけると――陰部が腫れる。

白蛇は神の使――殺さない。

蛇の皮を財布に入れておくと――金持になる。

ひき蛙を殺すと――夜、大石を腹の上に上げられる。

猫を殺すと――化けて出る。

牝鶏が時を告げると――不幸がある。

鏡を割ると――縁起が悪い。

女が石臼の目を拭くと――盲目の子が生れる。

箒をかつぐと――大きくならない。

柿の木から落ちれば――三年以内に死ぬ。

椿、無花果・ビワを屋敷内に植えると悪い。

苗代田へ餅稲を植えるものではない。

苗をくくった藁で目をつくと――目があかない。

みようがを食べると――忘れものをする。

皿や鉢で水をのむと――大口の子が出来る。

おできや創傷のあるとき餅を食べると治らない。

足をゆすると貧乏になる(貧乏ゆすり)。

焼箸で食事をすると出世をしない

猿は庚申様の使いだから殺してはいけない。

盆の赤トンボは仏の使い殺してはいけない。

毛髪や爪を焼くと気狂になる。

うそをつけば鬼が舌を抜く。

おへそを出せば雷にとられる。

家を北向きに建てると不幸になる。

戸障子の紙で尻をふくと病気が出る。

字を書いた紙で尻をふくと字が上手にならない。

油揚げを持って山へ行くと狐にばかされる。

勝負事をすると親の死に目にあわぬ。

神社や寺の古材で飯を炊くと気が狂う。

人の身体をまたぐとその人より出世しない。

妊婦の居る家がカマドの修理すると出きた子は兎唇になる。

〃 が砥石、鎌、天秤をまたぐと産が重い。

〃 が箒をまたぐとお産が重い。

〃 が叺の上に坐ると梟が生れる(叺にわれを入れて坐れ)。

〃 が横むしろにねると唖の子が生れる。

〃 が兎を喰べると兎唇の子が出来る。

〃 が蛤を食べるとその子は舌を出す。

〃 が火事をみると赤ホヤケの子が生れる。

〃 が葬式をみるとアザのある子が生れる。

産後は鰯はよいが鯖を食べると悪い。

〃  葱をたべると屁がよく出るので悪い。

三人で写真に写ると中の人は死ぬ。

子供が火遊びすると寝小便をする。

人の足のうらをかくと貧乏になる。

人の死に際して行なうことは縁起が悪いとされ、平素これをきらう。即ち

○北枕○一膳飯○一杯茶○一本箸○一本花○土間と座敷を同時に掃く○着物を左前に着る○縄の帯をしめる○洗濯物を丸洗いのまましぼらずに北向きに干す○衿のついていない着物をきる○寝るときタオルを顔にかぶる○新しい着物や履物を夕方や夜に初おろしする○一枚の着物を二人で縫う○履物をはいて土間におりる○屏風を逆さに立てる○竹と木の箸を使う○箸と箸で物をはさみあう○藁に元から火をつける○丸い握り飯

葬儀の到米(知らせ)には二人以上で行くこと。

墓場でころぶと長生きしない。

葬儀の時、後を振返ると怪我が治らぬ。

〃 の帰りには他家に立寄るといけない。

〃      玄関で塩をふって入れ。

四 まじない

すろ手のとき―手首に糸をまく或いは障子の破れより手を出し異性の末子に糸で結んでもらう。また、患者は玄関の外に立ち家の内に居る子に糸で手を結んでもらうとよい

ハジカの予防
(1)南天の木で打出の小槌(約3センチメートル内外)をつくり首にさげさせる。
(2)摺鉢をかぶせて上から灸をすえるとよい。

夢見の悪いとき―南天の葉を頭にさすか、または頭の上にのせると苦難を逃れる

鳥居の笠石に石をのせると良縁がある。

妊婦は戌の日に腹帯をまくと産が軽い。

冬至に南瓜を喰べると中風にならない。

黒豆をたべると声がよくなる。

ナメクジをもんでたべるとゼンソクによい。

新風呂に入ると中風にならない。

夜、履物をおろすときは「スミ」をつける。

雷がなるときはチマキを焼くか、麻の蚊帳の中にいるとよい。

長居の客には箒を逆に立てる。

陰膳を据えてやるとお腹がすかない。

五月の節句には蓬と菖蒲と茅を結んで屋根にあげるとよい。

篩を厩の裏にかけるとよい。

妊婦が火事を見たときは尻をたたくとよい(アザはお尻に出来て人目につかぬ)。

第三節 方言と俗語

ある病院での老人の対話

ハツ「まあ、めづらしいナィ、あんたナゴウミランヤッタガ、ドゲエションナッタナイ」

トメ「ドゲェチ、コゲェチ、アンタ もう年をトリャ ツマランバイ、腰がイテェーやら、足がワリィやら。ソイチ アンタハドゲエアルトナィ」

ハツ「アタャ、この二・三日咳がヨウ出ルキ風邪を引イタンヤロウ。嫁女が病院で診チもらいなさいチ言うチ自動車でツノウチキチクレチャッタキ 来タトコヤナイ」

トメ「ケンド年寄リヤ今迄病院にかかってもゼンがイランヤッタキよかったケンド、これからゼンがいるゴトナルゲナヤキ、お互に病気せんゴト要心センニャナイ」

ハツ「ソウコタナイ、ケンド年寄リャ今までがヨスゲチョル。ナンボカ、ゼンがいるごとなるゲナヤケンド昔から見リャ、老人年金とか、憩の家とか言ウチ年よりャ有難う思うチョカンナ 罰カブル」

トメ「ソウタイナイ、ホンナコト」

ハツ「源七ツサン、アンタドゲエアルナイ」

源七「ワシャ ギックリ腰で来チョラナイ。ソヒチ丑松ワリャ、ドゲエアルトカ」

丑松「俺リヤオマイ、昨日柿をチギリヨッチ落テチョライ」

源七「イイ年シチ柿の木に登るモンナキ ソゲナコトニナル」

丑松「木ハ低キイ木ヤッタキ大シタコトハ ナカッタケンド内のモンガ心配シチ ツノウチキチクレタキ オマイ」

源七「気持ハ若ケエツモリデモ五体ノ方が言うこときかんキ無理センゴト シチョカンニャツマランザイ」

丑松「オオ、俺モソゲエ思イヨル」

 遠賀地方の方言の例である。

 福岡の方言には概ね東部(豊前、東筑前)、西部(筑前大部分)・南部(筑後・筑前南部)の三方言に分類される。

 その三方言の対立を二・三、拾ってみると命令形で東部は起キイ(ョ)、西は起キレ南は起キロ。蕺菜は東部はニュウドウグサ、西部はドクダメ、南部はワクドグサ等がある。

 当地方では、遠賀のチヨル言葉といわれる位、言葉のはしばしに「チヨル」が使われている。

 これらは所謂、川筋言葉で、簡素明快で、飾り気が少く、住民の性質が卒直に表われていて語勢が荒々しくなっている。

 遠賀町は前述の三方言の内、東部に属するが、同じ町内でも多少の相違はある。例えば尾崎のテ言葉、別府のチ言葉といったように尾崎は岡垣寄りのやややさしい言葉が多い。これらは地理的にも隣接して昔から交流が多かったからであろう。

 岡垣は九州方言アクセント分布図に於ても西部圏に分類され、遠賀地力は境界にあるため、いろいろ混乱していることも見られるのである。

九州方言アクセント分布図福岡県のアクセント

あの部いの部おの部くの部しの部その部との部はの部への部やの部

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